Te-Sera-Sera

はじめまして。てーはやといいます。このブログは国際協力業界で働きながら感じたことや、疑問に感じたことなど、国際協力に関するトピックを中心にしながら、様々な社会問題についても考えてもらうきっかけになればと思い始めました。ちなみにブログのTe-Sera-Seraという意味は、私のあだ名である「てーはや(Te-haya)」のTeと、「何とかなるさ」という意味の「Que Sera Sera」という意味を合わせたのが由来です。

「オーバーツーリズム」を考えてみた話。

こんにちは。

てーはやです。

 

気づけばもう12月…。一年が過ぎるのはあっという間ですね。

先月は仕事でバタバタし、先月末から出張が入って、その出張から帰って来てからずっと謎の喉痛に襲われています…。

 

つい先日耳鼻咽喉科を診療してきたのですがインフルと診断されなくて良かったです。いや、診断された方が良かったのかな(←

 

今日は久しぶりの投稿ということで、色々気になることがあって書きたいのですが、先月気になって、つい最近意味を知った「オーバーツーリズム」について書いていきたいと思います。

 

 

事の発端

私は先月、プライベートと仕事で2回京都へ行きました。11月の京都と言えば観光シーズン。11月の比較的混んでいない時期とはいうもののさすが京都。あらゆる公共交通機関があふれかえっています。京都の在住者であれば発狂を通り越してある種の悟りの域を超えるのではないでしょうか…。

  

1回目は相手が混雑を避けたがっていたとはいえ、伏見稲荷四条河原町、嵐山などを散策しました。それでも人が多いので宇治方面を観光しました。(宇治初めて行きましたが人もそこまで多くなくていいですね!!)ただ、途中使用した京都駅→稲荷の電車が激混みだったり、京都駅→四条河原町205系統のバスだったりは、すぐにいっぱいになってました。

 

2回目は日本文化体験ツアーの添乗で伏見稲荷(2回目)、金閣寺錦市場…というコースが組まれていました。休日ということもあって人、人、人、、、という状態でした。帰りも烏丸から京都南ICに乗るのに通常20分かかる道のりが1時間かかったりと…。へとへとでした。

 

「オーバーツーリズム」とは?

この「オーバーツーリズム(Overtourism)」という言葉は、2016年にアメリカの観光会社であるスキフト社で初めて作られ、2018年には、国連の観光専門機関であるUNWTO(United Nations World Tourism Organization)が、‘Overtourism’? - Understanding and Managing Urban Tourism Growth beyond Perceptions, Executive Summary(日本語訳: オーバーツーリズム(観光過剰)?」-都市観光の予測を超える成長に対する認識と対応)、という報告書の中で初めて出てきました。

 

この単語の明確な定義はまだはっきりとあるわけではありませんが、上記の報告書の中では、「デスティネーション全体又はその一部に対し、明らかに市民の生活の質または訪問客の質に悪い形で過度に及ぼされる観光の影響(2018;‘Overtourism’? – Understanding and Managing Urban Tourism Growth beyond Perceptions,Executive Summary Japanese version,pp4)」だと定義できると言います。

 

また、同報告書では観光混雑に対しての以下の俗説も否定しています。

 

・観光による混雑は訪問客の数だけでなく、それに対応できるキャパシティが関係する。

-訪問客が増えすぎ、恐らく季節によって更に悪化している

-訪問客による悪影響が大き過ぎる

-訪問客による経済的、物理的影響が大き過ぎる

・観光による混雑は一般に、市全域の問題というより局所的なものである

・観光による混雑は観光に限った問題ではない

・技術的解決策あるいはスマートソリューションは重要だが、それだけでは観光による混雑の問題は解消されないだろう

 

…確かに…全部京都で体験したやつや…。

もちろん、上記の例は京都だけではなく、国内の人気観光スポットとして挙げられている北海道、東京、大阪、奈良などにも当てはまると思いますし、世界の観光地でも同様の問題が起きているそうです。確かに近年観光産業は目覚ましい発展を遂げてきており、その発展は目を見張るほどです。しかしながら、

 

G20でも話されたけど…。

今年、大阪でG20首脳会合が大阪で開かれたことは記憶に新しいと思います。今年は日本各地でG20の関連会合が開かれましたが、関係閣僚会合として10月に北海道でG20観光大臣会合が開催され、「北海道倶知安宣言」が採択されました。

 

以下が倶知安宣言の本文です。

http://mlit.go.jp/kankocho/content/001314848.pdf

 

倶知安宣言では想起の内容として15項目、考慮の項目として3項目、合意内容として15項目の計33項目について記載されています。特に合意内容の所を何個か抜き出してみると

・観光をSDGs(持続可能な開発目標)の貢献に促進させる

・資源を保護しながら体験させつつ、その利益の更なる保護や地元経済への共有に繋げていく責任ある観光を促進する

イノベーションを促進し、持続可能な企業を創出

・効果的な訪問客のマネジメントを促進し、新技術、デジタルスキルと資金へのアクセスを含めた中小企業の発展を支援するためにデジタル化を最大限に活用する

 

…など、合意内容については「持続可能性」や「イノベーション」に関係する言葉が多々並んでいるのですが、このブログを最初から読んでくださっている心優しい方()ならもしかするとお気づきかもしれませんが、

 

あれ?

オーバーツーリズム解決できなくね?

 

とお思いになりませんか?

各合意内容の文言で「最大化」という言葉があるのが上記の「…効果的な訪問客のマネジメントを促進し、新技術、デジタルスキルと資金へのアクセスを含めた中小企業の発展を支援するためにデジタル化を最大限に活用する」という箇所のみです。

 

確かに文言自体は「中小企業の発展」を支援するための手段としての「デジタル化の最大化」というように記載していますが、この中小企業は主には観光産業を対象とした中小企業であり、要は「観光産業の発展の支援のためにデジタル化することを最大限頑張ってね」というように解釈したのですが、ご意見のある方はぜひお待ちしております。

 

いずれにせよ、上記の文言は、「オーバーツーリズムとは?」という所に記載した「・技術的解決策あるいはスマートソリューションは重要だが、それだけでは観光による混雑の問題は解消されないだろう」という言葉と真っ向から矛盾してくるわけです。

 

日本だけに限ってみると、来年は東京オリンピック、2025年には大阪万博があるのに、さらに言うと政府目標として2020年に観光客4000万人を標榜しているので、観光客を抑制するような政策は取りたくないのでしょうな…。

 

まとめ

この問題って「常連で通ってたお店をある日突然ミーハーな人に取られてしまった」問題に似ているかもしれません。今まで様々な理由があってそのお店が好きになり、ずっと通っていたものの、ある日テレビや雑誌に取り上げられてしまったせいで繁盛はするけど常連さんが来なくなってしまう、というような状況です。そのお店はいずれお客もいなくなり、常連もいなくなってしまった挙句に店をたたんでしまうという状況になるでしょう。

 

どこの観光地でもそうだと思いますが、それぞれの観光地は今まで地元に住んできた方が大切にその場所を守ってきたからこそ、今、観光地として成り立っているのだろうと思います。しかし、一時期の繁盛に目がくらみ、周辺住民の生活を犠牲にすると、今までそこに住んでいた住民がストレスを感じて別の場所に移動することを検討したり、いなくなってしまうかもしれません。そういった状況が「持続可能的」といえるのでしょうか?

 

個人的に、持続可能的な観光にするには、近年増加傾向にある観光客を減らすことはできませんが、観光地に行くときは「郷に入っては郷に従え」の精神が非常に大事になってくると思います。観光地に行くとつい気が緩んでしまいがちですが、現地のマナーをしっかりと厳守する、警備員さんや駅員さんに一言「いつもお疲れ様です」などと声をかけると地元の人々のストレスも多少は軽減されるかもしれませんね。

 

それでは今日はこの辺で。